創立者 後藤俊太郎の紹介

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後藤俊太郎(後藤家28代)
(1923-2006)

 

鎌倉彫後藤会は、東京四谷の主婦会館生活講座の教室と、鎌倉市市民学級出身のグループという小規模な二つの教室が母胎となって1956年に始まりました。この講座を始める時私は二つの大きな目標を立て、それは今も変わらず後藤会全体のバックボーンとして生きています。
一つめは、日々いとしみながら使う道具としての鎌倉彫を、自分の手で作り出す喜びを知ってほしいということです。戦後大きく変わった価値観の中で、日常の生活に新しい時代感覚の彩りを添えるものを一人一人がその感性で掴んでほしいと思うのです。
二つめは私自身のルーツである鎌倉佛師の伝統に根ざす彫刻技術を、工房のプロだけではなく広くアマチュアの人々を含めて次の世代へ正しく伝承したいという願いです。

ですから後藤会では、基礎的な刀法と優れた古典作品の手法を、正しく習うことから講習が始まります。
さらには、対象に向かい合う写生の勉強を経て創作へ発展するという手順を辿って、
あなただけの素晴らしい作品世界が生まれることを常に期待しているのです。

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*写真左から 文箱「石榴」 額「扇ガ谷」 手刳箱「椿」 飾額「椿」(クリックすると拡大します)

1923年7月 鎌倉に生まれる。
1947年11月 祖父運久没 79歳
1948年東京美術学校(現芸大)彫刻科本科(1946)研究科卒業
4月 運久の跡を継ぎ後藤家28代博古堂当主となる。
1949年鎌倉彫振興協会結成、理事長となる。
1951年組合法人鎌倉彫協同組合設立、初代理事長となる。以後数期歴任
1952年株式会社博古堂を設立
1956年1月 東京の主婦会館生活講座の教室開講、同じ頃 鎌倉木曜会教室も始まる。
1959年11月 第8回神奈川文化賞受賞「鎌倉彫の保存と育成に貢献した」功績に対し、三橋央(鎌山)と連名にて受賞
1961年教室を主宰する人達を糾合し、鎌倉彫教授会を結成 三橋、後藤の2人が代表理事となる。
本会名称を「後藤鎌倉彫研究会」とする。
1963年鎌倉市展では従来工芸に一括されていた鎌倉彫展を、この年から独立して開催する事になって現在に至っている。
1964年(社)日本漆工協会常務理事就任、鎌倉彫教授会長就任。
鎌倉彫会館建設運動に入る。
鎌倉彫振興協同組合と鎌倉彫教授連盟が分離結成された。
1968年6月 鎌倉彫会館落成 初代館長就任 以後数期歴任
1970年7月 鎌倉彫会館全館で後藤鎌倉彫研究会作品展(15周年)を開催
1972年4月 会名を「鎌倉彫後藤会」と改称
1973年5月 日本漆工協会より「漆工功労者」表彰を受け高松宮より木盃を賜る。
7月 主婦と生活社より『鎌倉彫』を出版(現在51版)
1978年3月 二つの協同組合と無所属の業者を結集し伝統鎌倉彫事業協同組合を結成し初代理事長に就任。
1979年1月 通産省より伝産法に基づく伝統的工芸品の産地指定を受ける。
4月 鎌倉彫資料館を公開、初代館長就任 以後数期歴任
5月 鎌倉彫教授会がパリ展を開催。後藤会も出品とツアーに多数が参加。以後ベルリン展(1984) ローマ展(1986)
ニューヨーク展(1989) ロサンゼルス展(1993) ロンドン展(2001)のすべてに多数の作品を出品した。
11月 明治の鎌倉彫再興の功労者の遺徳を顕彰するため、鎌倉彫再興碑を建立
1980年5月 日本漆工協会理事長就任。(連続4期)
総裁高松宮を迎えて鎌倉で総会を開催。
鎌倉彫会館で記念展を開き、漆工協会では鎌倉彫特集号を刊行。
11月 講談社より『現代鎌倉彫聚成』を出版(共同監修)
1981年4月 日貿出版社より『これからの鎌倉彫教室』を出版(監修)
11月 藍綬褒章を受章「多年関係団体の要職にあって業界の指導に努め斯業の発展に寄与した功績に対し表彰する」
(褒章の記より)
1987年5月 病のため漆工協会理事長を退任、顧問となる。
10月 NHK学園通信講座で「鎌倉彫入門」を開始
1988年6月 鎌倉彫後藤会展(33周年)を鎌倉彫会館と鎌倉市中央公民館で開催
1989年11月 鎌倉市より市政功労者表彰を受ける。
1993年11月 勲五等双光旭日章の叙勲を受ける。
1997年後藤尚子 鎌倉彫後藤会副会長となる。
9月 鎌倉彫後藤家四代展と鎌倉彫後藤会展(41周年)を鎌倉芸術館で開催
かまくら春秋社より「鎌倉彫後藤家四代」(俊太郎、圭子編)を出版
2000年3月 現代鎌倉彫コンペティションが公募により開催。後藤尚子が銀賞を受賞
2005年12月 鎌倉彫後藤会50周年記念展を開催
2006年5月 鎌倉彫後藤会50周年記念 京都展を開催
後藤俊太郎 没
俊太郎作品歴1947年より日展第3科(彫刻)入選9回
神奈川県美術展工芸部門最高技術賞。鎌倉彫創作展(鎌倉彫協会)大賞
など受賞作多数。